キャンピングカーによる旅行や自然をこよなく愛する人向けに、イタリア・ローマを拠点とするスタートアップ「Agricamper Italia」が興味深いサービスを提供しています。いったいどのようなサービスなのでしょうか?
欧州に多いキャンピングカーでの旅行をサポート
バカンスが風習となっているヨーロッパでは、キャンピングカーで気の赴くままに欧州を巡ることが少なくありません。しかし、夏のハイシーズンともなると各地のキャンプ場は飽和状態で、駐車スペースの確保は決して楽ではありません。
そんな課題を解決すべく登場したのが「Agricamper Italia」です。同社が提供しているサービスを利用するユーザーは、イタリア国内の農家や酪農家が所有する土地の一画に、キャンピングカーを停めることができます。「Agricamper Italia」と契約している農場や「アグリトゥーリズモ」(※)が、敷地の一部をユーザーに開放してくれるのです。
※イタリアで人気の「アグリトゥーリズモ」は、農業や酪農が本業の人々が宿泊施設を作り、自家製の食材や栽培等の経験を提供する農園ホテルのこと
「Agricamper Italia」は、イタリアで100以上の農家と契約しており、ユーザーは年会費29ユーロ(約3500円)を支払うことでサービスを利用できます。敷地の一部を借り、キャンピングカーで寝泊りするため、ユーザーがホストに支払う宿泊料は発生しません。「Agricamper Italia」アプリは5ヵ国語に対応しています。
キャンプ場よりも静かな環境で心地よい眠りにつく
「Agricamper Italia」のサービスの魅力は、キャンピングカーを停められることだけではありません。
まずイタリアには、ユネスコによって認められた文化的景観が数多くあり、「Agricamper Italia」を利用すれば、町の文化遺産を見学した後に海や山、丘、湖等の大自然に囲まれながら夜を過ごすという素敵なバカンスを楽しめます。
また、敷地を提供する側(ブドウ農家や酪農家、「アグリトゥーリズモ」と呼ばれる宿泊施設等)にも様々な利点があります。
キャンピングカーで旅行する人々に敷地を提供する農家は、ユーザーに自家製商品を堪能してもらい、その後商品を購入してもらいたいと考えています。農家がゲストに提供する商品は、ワインやオリーブオイル、はちみつ、サラミ等、多岐にわたります。
ユーザー側からすれば、年会費以外に商品を購入することで、ホストが提供してくれたホスピタリティへの感謝を表現することもできるわけです。
「Apricamper Italia」は「キャンピングカーでこうした場所を訪れた人々が、キャンプ場とは異なる真の田園風景を堪能し、その場所で生産される食材に直接触れることも目的としています」と紹介しており、直接観光客と土地の産物を結びつけるシステムを構築したいと考えているのです。
各業界からも称賛される新システム
現在、「Agricamper Italia」には100以上のホストが登録されており、今後もその数は増え続けることでしょう。同社のサービスはイタリア独立醸造所連盟(Unionbirrai)、イタリアワイン連盟(FIVI)、キャンピングカーの所有者による連盟(ACTItalia)等、様々な業界に評価されているからです。
フランス人女性が異国でかなえた夢
「Agricamper Italia」を立ち上げたのは、イタリアに住むフランス人女性のPauline Nava氏。彼女は国際的にも名の知れた広告代理店にプロジェクトマネージャーとして10年以上勤務した後、2015年に2人の子ども、母親とともにイタリアに移住しました。イタリアの地で生活スタイルを変えることを決心した彼女は、デジタルの世界を離れて自身の夢の実現に邁進。その結果として誕生したのが「Agricamper Italia」です。サービスを始めるにあたって彼女が参考にしたのは、すでに1993年からフランスで知られていた「France Passion」。同サービスもぶどう栽培農家や酪農家に宿泊するツーリズムを提供しています。
関連リンク
🔷ViaggiーUna notte in camper nella natura a costo zero (o quasi). Basta abbonarsi sul web
🔷Agricamper Italia
🔷GreenStyleーTurismo rurale in camper alla scoperta dell’enogastronomia italiana